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明晰性、明確性、一義性

碧海純一『新版 法哲学概論 全訂第2版』(弘文堂、1989)
p.131-134

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語が「明晰(clear;klar)である」ということは、それが「明確かつ一義的(precise and unambiguous)である」ことである、と言ってよいであろう。裏から言えば、「不明晰(obscure;unklar)である」とは、「不明確(vague;unbestimmt)又は多義的(ambiguous;vieldeutig)である」と同義だと言える・・・。

語が「明確(又は不明確)である」とは、「任意の事物(性質その他を含む)がその語の外延に属するか否か−換言すればその語のdenoteする集合の元であるか否か−が容易に判定できる(又はできない)」ことであり、
一義性(又は多義性)」とは、「その語がただ一つの外延しか持たぬ(又は複数の外延を持つ)」ことである。

・・・語の外延を一つの円と考えてみるのが一番よい。

明確な」語の外延は幾何学の教科書に描いてある円のように輪郭のはっきりした図形で表される。この場合、任意の点が円周の内側にあるか外側にあるかは容易に識別できる。

それに対し、「不明確な」語の外延は水墨画のおぼろ月のようなものだと考えることにしよう。この場合、輪郭がぼやけてどこに円周があるのか判らないから、その近辺にある任意の点をとって、それが円周の外側にあるのかそれとも内側にあるのかを判定することは難しい。・・・
・・・

一義的な語の外延は単一の円で表される。・・・

それに対し、多義的な語の外延は幾つかの円で表されるが、この場合、各々の円は全然交錯していないこともあり、交錯していることもあり、また一つの円が他の円の中に含まれていることもある。・・・
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amazon.co.jp (レビューあり)
Wikipedia 碧海純一

<目次>

第1章 序論
第2章 法の概念
第3章 社会統合と言語
第4章 記号の意味と解釈
第5章 法解釈学の性格と任務
第6章 法の経験科学
第7章 正義論の基礎―メタ倫理学の諸問題
第8章 正義論の歴史
第9章 現代の正義論

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