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碧海純一『新版 法哲学概論 全訂第2版』(弘文堂、1989) p.48 ーーーーー 昔から、「xの本質いかん」というタイプの問題が万人を納得させるようなしかたで解決されたためしは殆どない。これは「xの本質」という表現が多義的であるために、定義と疑似定義とが不断に混同されたからにほかならない。 例えば、「人間は理性的動物である」という場合、この文が 「『人間』という用語を『理性的動物』という用語と同義に用いることにしよう」という決定(定義)なのか、 「『人間』という用語で指示されている対象は動物であってかつ理性的である」という対象の性質についての主張(経験分析)なのか、それとも、 「『人間』という用語と『理性的動物』という用語とは同義に用いられている」という用語法についての叙述(意味分析)なのか は必ずしもはっきりしない。この一番大切な区別を解明せずにいくら議論してみても、明確な解答が出てこないのはむしろ当然である。 ーーーーー |
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