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著作権法20条の解説( 1/12)

(1999.4作成)

(同一性保持権)
第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。
 一 第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)又は第三十四条第一項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの
 二 建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変
 三 特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変
 四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変
    (昭六〇法六二・2項三号追加四号一部改正)

趣旨
 本条は、著作者人格権の1つとして、著作物及び題号についての同一性保持権(同一性を保持する権利)を定める(1項)とともに、その同一性保持権が及ばない場合を定めた(2項)ものである。
 同一性保持権とは、「意に反して」「変更、切除その他の改変を受けない」権利である。法令用語の使用法としては、「その他の」は例示を示す(これに対し、「その他」は並列を示す。)ので、「変更」と「切除」は「改変」の例ということになり、同一性保持権とは、要するに、「意に反する改変を受けない権利」を意味する。
 本条は、著作者の人格が具現化された著作物の完全性を保持することによって著作者個人の人格権を保護する趣旨があるとされているが、そのほかにも、創作された著作物は著作者の財産であると同時に国民にとっての文化的所産であるから、国民共通の文化的所産の同一性を保持するという文化的要請にも基づくとされている(加戸131頁)が、「著作者の意思を基準とするこの制度にそのような目的を見い出すことは困難であろう」と指摘されている(田村・概説356頁)。
 デジタル化・ネットワーク化の進展のなかで、著作者人格権としての同一性保持権が強く保護されすぎると、かえって文化の発展が阻害されるおそれが指摘されており、現行の20条の解釈のあり方、立法論としての改正の方向(例えば、名誉・声望を害する改変のみを同一性保持権の侵害とする改正が提案されている。)に関心が持たれている。
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