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著作権法20条の解説( 2/12)

(1999.4作成)

ベルヌ条約との関係
 本条の規定については、著作者の名誉・声望を害するおそれがある変更に異議を述べる権利を定めたベルヌ条約の6条の2をカバーするとともに、それに上乗せをする趣旨で立案したという立法担当者の説明がある(シンポジウム「著作権法制と人格権」著作権法研究23号1頁における加戸守行発言52頁以下)。これによれば、名誉・声望が害されないが意に反する改変である場合(例えば、著作物の価値が上がる場合など)があり、そのような場合にも著作者の権利を認める趣旨ということになる。
 これに対して、ベルヌ条約の1928年改正ローマ条約で6条の2が付加されたときは、「著作者の名誉・声望を害するおそれがある」という文言が「著作物の・・・改変」という文言を修飾していたが、1948年ブラッセル改正条約では、「著作物の・・・改変又は著作者の名誉・声望を害するおそれのある著作物の侵害」という表現に変更されたとして、ベルヌ条約は「著作者の名誉・声望を害する改変」のみを同一性保持権の侵害としているわけではないという見解(前掲シンポジウムにおける半田正夫発言56頁以下)がある。これによれば、日本の20条はベルヌ条約による保護の範囲を越えたものではないということになる。
 しかし、ベルヌ条約6条の2の「名誉又は声望を害するおそれのある」との文言が「著作物の変更、切除その他の改変又は著作物に対するその他の侵害」の全体にかかるとする解釈、そして、日本の著作権法20条はベルヌ条約による保護の範囲を越えて保護するものであるという解釈が多数と思われる(小泉直樹「著作者人格権」民商116巻4・5号84頁(101頁以下及び110頁以下))。

<ベルヌ条約>
Article 6bis

(1) Independently of the author's economic rights, and even after the transfer of the said rights, the author shall have the right to claim authorship of the work and to object to any distortion, mutilation or other modification of, or other derogatory action in relation to, the said work, which would be prejudicial to his honor or reputation.

ベルヌ条約 第六条の二〔著作者人格権〕
(著作権情報センターの訳による。)
(1) 著作者は、その財産的権利とは別個に、この権利が移転された後においても、著作物の創作者であることを主張する権利及び著作物の変更、切除その他の改変又は著作物に対するその他の侵害で自己の名誉又は声望を害するおそれのあるものに対して異議を申し立てる権利を保有する。
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