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(1999.4作成) 「著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変」(2項4号) 本号は抽象的・一般的規定であるので、個別的な事例ごとに、「著作物の性質」、著作物の「利用の目的及び態様」、それらに照らし「やむを得ないと認められる改変」かどうかが判断される。 なお、東京地判平成8年2月23日判時1561号123頁<やっぱりブスが好き事件>が、同一性保持権の侵害をまず認めた上で、権利行使が権利濫用であるとして請求を棄却したことにつき、「20条1(ママ)項4号はーその一般条項的体裁にもかかわらずー、本件のようなケイスバイケイスの判断を要する事例に適用すべきものではなく、より公共性の強い定型的行為の適用除外の必要性に備える趣旨であると解釈されたものと言える。」(小泉・前掲107頁)という指摘がある。しかし、権利濫用はどのような権利についてもありうることであり、この事件については、漫画家と編集者と間の具体的なやりとりや態度との関係で権利濫用というアプローチがとられたと見るべきであり、上記の指摘のように断定することには疑問がある。 これまでに本号に該当するとされたものとしては、例えば次のような場合がある(加戸137頁以下、小泉107頁)。 ・音楽 録音技術の制約 → 原作品どおりではない音階 演奏・歌唱技術の未熟→ 音楽的表現不十分 実演家の個性 → 実演家の個性的表現 ・美術 印刷技術の制約 → 原作品どおりでない色彩 放送技術の制約 → 原作品の一部の欠如 ・映画 放送技術の制約 → 原作品の一部の欠如 なお、映画につき、映画をビデオ化、テレビ放送する際に行われたトリミングにつき、同一性保持権の侵害を否定した事例として、東京地判平成 7年 7月31日(判時1543号161頁、判タ897号191頁、知裁集27巻3号520頁)<映画「スウィートホーム」事件>がある。 |
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