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杉並区・住基ネット訴訟 控訴審・第4準備書面から(3/6) プライバシー(自己情報コントロール権)の権利性について(住基ネットに関する裁判例)


 6 住基ネットに関する裁判例では,大阪高裁判決以外にも,以下に述べるとおり,多くの裁判例が明示的又は実質的に自己情報コントロール権の保障を認めており,この点につき判例は確立していると言ってよい。なお,以下のうち「◎」印のものは明示的に認めているもの,「○」印のものは実質的に認めているものである。

 ◎ 金沢地裁平成17年5月30日判決(判時1934号3頁,判タ1199号87頁,http://www.courts.go.jp/)
「このような社会状況に鑑みれば,私生活の平穏や個人の人格的自律を守るためには,もはや,プライバシーの権利を,私事の公開や私生活への侵入を拒絶する権利と捉えるだけでは充分でなく,自己に関する情報の他者への開示の可否及び利用,提供の可否を自分で決める権利,すなわち自己情報をコントロールする権利を認める必要があり,プライバシーの権利には,この自己情報コントロール権が重要な一内容として含まれると解するべきである。」(判時1934号23頁第2段)

 ○ 名古屋地裁平成17年5月31日判決(乙16)(判時1934号3頁,判タ1194号108頁,http://www.courts.go.jp/)
「自己情報をコントロールする権利がプライバシー権として認められるか否かは別としても,本人確認情報や氏名の読み方等についても,これをみだりに収集,開示されたくないと考えることは自然なことであり,そのことへの期待は保護されるべきであるから,これをみだりに収集,開示されないという限度での法的利益は認められる。」(21頁,判時1934号39頁第4段)

 ○ 福岡地裁平成17年10月14日判決(乙17)(判時1916号91頁)
「自己情報コントロール権と称する権利が憲法13条によって保障されるプライバシー権の一内容であるか否かは別としても,本人確認情報は,これをみだりに収集,開示されたくないと考えるのは自然なことであり,そのことへの期待は保護されるべきであるから,これをみだりに収集,開示されないという限度での人格的利益は認められる。」(24頁,判時1916号99頁第1段)

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