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杉並区・住基ネット訴訟 上告理由書から( 3/13) 個人情報保護条例に基づく杉並区の義務


 第2 個人情報保護条例に基づく杉並区の義務

1 現在ではほとんどの地方自治体において個人情報保護条例が制定されていると考えられるが,東京都杉並区個人情報保護条例(昭和61年12月1日,杉並区条例第39号)は全国的に先駆けて制定されたものであるところ,同条例においては,以下のとおり,杉並区が区民の個人情報に関する基本的人権を擁護・尊重すべきことが規定されている(昭和61年の制定当時の条例は資料2−1。平成17年時点のものは甲35)。
  なお,このような条例を制定すること自体が憲法92条・94条に基づき正当とされることは疑いない。

「(目的)
第1条 この条例は,自己に関する個人情報の閲覧,訂正等を求める区民の権利を保障するとともに,個人情報の保護に関し必要な事項を定めることにより,区民の基本的人権の擁護と信頼される区政の実現を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 個人情報 個人に関する情報であつて,特定の個人が識別され得るものであり,文書,図画,写真,フィルム及び磁気ディスク(これに類するものを含む。)に記録されるもの又はされたものをいう。
 二 実施機関 区長,教育委員会,選挙管理委員会,監査委員及び農業委員会をいう。
(実施機関等の責務)
第3条 実施機関は,個人情報を収集し,管理し,又は利用するに当たつては,区民の基本的人権を尊重するとともに,個人情報の保護及び区民福祉の向上を図るため必要な措置を講じなければならない。
2 個人情報の収集,管理又は利用に当たる実施機関の職員は,職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も,同様とする。」(下線は上告人代理人)

2 したがって,上告人は,個人情報に関する住民の基本的人権を保障すべき法的義務を負っているのであり,その義務に基づき,住民の憲法上の権利を本訴において主張することが妨げられるべき理由は全くないというべきである。


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