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平成21年 2月26日 名古屋高裁 判決 <平20(ネ)17号> 損害賠償請求控訴事件 〔アマメシバ訴訟・控訴審〕 (一部変更) 要旨 健康食品である粉末あまめしばを摂取した後に閉塞性細気管支炎を発症した消費者につき同食品の摂取と同疾患との間に因果関係があるとされた事例 健康食品である粉末あまめしばに製造物責任法2条2項の「欠陥」があるとされた事例 健康食品を摂取した消費者が閉塞性細気管支炎を発症したことにつき、疫学的見地から、消費者の体質ないし素因が相当程度影響しているとして、損害額からその4割を減額した事例 裁判経過 第一審 平成19年11月30日 名古屋地裁 判決 <平16(ワ)3089号 出典 裁判所サイト、ウエストロー・ジャパン −−−−− 第2 事案の概要 1 本件は,(1)亡E(平成20年3月26日死亡)が被控訴人らに対し,製造物責任法3条(被控訴人C株式会社(以下「被控訴人C」という。)については,製造物責任法3条又は民法709条)に基づき,損害賠償金4013万0194円及びこれに対する損害発生後である平成14年7月5日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めたが,当審において,控訴人らが,亡Eを訴訟承継したことから(相続分各2分の1),それぞれ,被控訴人らに対し,損害賠償金2006万5097円及びこれに対する上記と同じ遅延損害金の連帯支払を求め,また,(2)控訴人Aが被控訴人らに対し,上記(1) と同じ責任原因に基づき,損害賠償金6873万2194円及びこれに対する損害発生後である平成14年3月3日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める事案である。 原審は,製造物責任法3条に基づき,上記(1)の亡Eの請求を一部(2200万円と遅延損害金)認容し,上記(2)の控訴人Aの請求を一部(5421万2783円と遅延損害金)認容した。 そこで,控訴人A及び亡E,被控訴人D株式会社(以下「被控訴人D」という。)が敗訴部分につき控訴をした。 ・・・ (当事者が当審において追加又は敷衍した主張) (1) 被控訴人Dの主張 ・・・ カ 控訴人Aの損害拡大防止義務違反(検査等の拒否) 控訴人Aは,精密検査の受検や,有効な治療(ステロイド治療)を拒否しており,これらの事情が同人の損害の拡大に寄与したものといえる。したがって,控訴人Aに生じた損害のすべてを被控訴人Dに賠償させるのは,公平に反するから,相当の減額をすべきである。 (2) 上記(1)の被控訴人Dの主張に対する控訴人らの反論 ・・・ エ 控訴人Aの損害拡大防止義務違反(検査等の拒否)の点について ステロイド治療により閉塞性細気管支炎自体が軽減されるものではないことは,前述のとおりであるから,これを受けなかったからといって,損害が拡大したとすることはできない。 また,控訴人Aの閉塞性細気管支炎が重篤なものであることや,胸腔鏡検査は,非常に侵襲性の高いものであること,胸腔鏡検査によって確実に患部の細胞を採取できるとは限らないこと,他の精密検査によっても閉塞性細気管支炎の診断は可能であること等からすれば,控訴人Aが胸腔鏡検査の受診を拒否したからといって,これが同人の損害を減額すべき事由に当たるとすることは相当でない。 ・・・ 第3 当裁判所の判断 ・・・ 4 控訴人Aの損害拡大防止義務違反(検査等の拒否)の点について 前示(原判決書記載)のとおり,ステロイド治療により閉塞性細気管支炎自体の症状の改善に効果があるかどうか必ずしも明らかではないから,控訴人Aがステロイド治療を受けなかったからといって,直ちに損害拡大の抑止義務に反するとまで認めることはできない。 また,前示(原判決書記載)の控訴人Aの閉塞性細気管支炎の症状経過等からすれば,同人の病状は,重篤であると認められる。そして,胸腔鏡検査は,非常に侵襲性の高いものである上,胸腔鏡検査によって確実に患部の細胞を採取できるとは限らないし,他の精密検査によっても閉塞性細気管支炎の診断は可能であること(証人I)等からすれば,控訴人Aが胸腔鏡検査の受診を拒否したからといって,同人の損害を減額すべき事由があるとすることはできない。 ・・・ −−−−− |
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