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H20.10. 7 最高裁三小(1/2)

平成20年10月 7日 最高裁第三小法廷 判決 <平20(受)12号>
事件名 損害賠償、求償金請求事件
破棄差戻し

要旨
交通事故の加害者が被害者に賠償すべき人的損害の額の算定に当たり、被害者の父が締結していた自動車保険契約の人身傷害補償条項に基づき被害者が支払を受けた保険金の額を控除した原審の判断が違法とされた事例

裁判経過
 控訴審 平成19年 9月20日 大阪高裁 判決 平19(ネ)942号
 第一審 平成19年 2月21日 神戸地裁姫路支部 判決 平16(ワ)381号・平16(ワ)591号

出典
裁時 1469号1頁
裁判所サイト
ウエストロージャパン
自動車保険ジャーナル 1762号5頁

評釈
高田淳・法セ 650号124頁
山下典孝・自動車保険ジャーナル 1762号5頁


(以下、判決文。なお、適宜改行してある。)

ーーーーー
主文

 原判決のうち上告人の敗訴部分を破棄する。
 前項の部分につき,本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理由

 上告代理人古田兼裕,同山本大助,同藤本一郎の上告受理申立て理由について

 1  本件は,上告人運転の自転車と,被上告人Y1運転の普通貨物自動車(以下「被上告人車」という。)とが交差点において衝突し,上告人が重傷を負った交通事故(以下「本件事故」という。)について,上告人が,被上告人Y1に対し,自動車損害賠償保障法3条 又は民法709条 に基づき,上告人が被った人的損害の賠償を求め,被上告人Y1との間で自動車保険契約を締結していた保険会社である被上告人Y2(以下「被上告人会社」という。)に対し,同保険契約に基づき,上告人と被上告人Y1との間の判決の確定を条件に,同額の保険金の支払を求める事案である。

 2  原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
   (1)  本件事故は,平成14年7月7日午前7時50分ころ,兵庫県姫路市内の国道250号線の交差点において,同交差点東側の横断歩道を北から南に向かって進行していた上告人(当時12歳)運転の自転車と,上記国道を西から東に向かって進行していた被上告人車とが衝突したというものである。本件事故における上告人と被上告人Y1の過失割合は,いずれも5割である。
   (2)  本件事故により,上告人は,脳挫傷,頭部打撲等の傷害を負い,入通院による治療を受けたが,平成15年5月27日,高次脳機能障害等の後遺障害を残して症状固定し,同後遺障害により労働能力を100%失った。
   (3)  本件事故により上告人に発生した人的損害(弁護士費用に係る損害を除く。)は1億7382万8332円(治療費,将来の介護費,住宅改造費,逸失利益,慰謝料等の合計)である。
   (4)  被上告人Y1は,本件事故当時,被上告人会社との間で,被上告人Y1が被上告人車によって第三者に加害を及ぼし損害を生じさせた場合に当該第三者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について,被上告人Y1と当該第三者との間で判決が確定し又は裁判上の和解若しくは書面による合意が成立したときに,当該第三者が直接被上告人会社に上記金額の支払を請求することができる旨の約定を含む自動車保険契約を締結していた。
   (5)  上告人の父であるAは,本件事故当時,B(以下「訴外保険会社」という。)との間で,上告人も補償の対象者に含む人身傷害補償条項(以下「本件傷害補償条項」という。)のある自動車保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結していた。本件保険契約においては,本件保険契約に基づく保険金を受領した者が他人に損害賠償を請求することができる場合には,訴外保険会社は,その損害に対して支払った保険金の額の限度内で,上記の損害賠償に係る権利を取得する旨の約定がある。
   (6)  上告人は,本件傷害補償条項に基づき,訴外保険会社から,本件事故による上告人の人的損害について,567万5693円の保険金(以下「本件傷害保険金」という。)の支払を受けた。
   (7)  上告人は,平成16年2月23日,自動車損害賠償責任保険から,本件事故の損害賠償として,3000万円の支払を受けた(以下,これを「本件自賠責保険金」という。)。
ーーーーー
(続く)
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