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学説と判例の状況

人身傷害補償保険金が支払われた場合の保険代位の範囲について

従来の学説・裁判例

(1)絶対説
 保険会社の支払った保険金額により定まるとする。
  横浜地裁H13.12.27判決(自ジャ1433-15)
(2)比例説
 被保険者の第三者に対する請求権の額に保険金額の保険価額(損害額)に対する割合を乗じたものを填補額を限度として代位取得するとする。
  神戸地裁H16. 7. 7判決(交民37-4-895)
(3)差額説
 被保険者が支払を受けた保険金と第三者に対する請求権とによって損害額の全部を回収した後、なお残る第三者に対する請求権の部分についてのみ代位取得するとする。
a 人傷基準差額説 
  大阪地裁H18. 6.21判決(判タ1228-292)
b 訴訟基準差額説 
  東京地裁H19. 2.22判決(判タ1232-128)、大阪地裁H19.12.10判決(判タ1274-200)など

このような状況の中で、別掲・東京高裁H20. 3.13判決は、訴訟基準差額説を採用し、約款の保険金の計算に関する規定を限定解釈することにより、被保険者(被害者)が保険金を先に取得した場合と加害者からの損害賠償の後に保険金の支払を請求する場合とで取得総額が異ならないように解することが可能であることを示した。

その後、別掲・最高裁三小H20.10. 7判決が出された。この判決が絶対説に立たないことは明らかであるが、その他のどの説に立つのかは明らかではない。

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