ホーム > 医療 > 最高裁・医療判例 >  

H 2. 3. 6 最三小 △(糖尿病、専門医の診療を受ける機会、過失相殺)

■19 (有責方向(10))
最高裁第三小法廷 平成2年3月6日判決 <昭和63年(オ)第960号>
KW:糖尿病患者、過失相殺割合、病状悪化の徴候がある場合には直ちに施術を中止して専門医の診療を受ける機会を与えるべき義務
 
(裁判官:坂上寿夫、安岡満彦、貞家克己、園部逸夫)
 集民159号213頁、判時1354号96頁、判タ739号73頁
 <破棄差戻し>
 
<評釈>
稲垣喬・民商102巻6号144頁、新田孝二・別冊法時3号64頁、窪田充見・判評386号37頁(判時1373号183頁)・ジュリ臨増980号81頁、河村吉晃・判タ臨増762号102頁、寺野彰・別冊ジュリ140号222頁
 
<審級経過>
第一審:福岡地裁大牟田支部 昭和61年2月28日 判決 <昭和58年(ワ)第24号>
控訴審:福岡高裁 昭63年3月31日判決 <昭和61年(ネ)第134号>
☆差戻後控訴審:福岡高裁 平成2年8月30日判決 <平成2年(ネ)第212号>
 
<要旨>
 過失相殺割合の判断が裁量権の範囲を逸脱して違法であるとした事例
 重篤な糖尿病患者で医師の指示のもとでインシュリン注射や飲み薬を常用する者を入院させるに当たつては、断食療法の可否について事前に担当医師の指示を受けてくるように指導する義務があり、医師の指示を受けず、かつ、医師の指示による投薬を中止して入院する者に対しては、入院後の容態に細心の注意を払い、病状悪化の徴候がある場合には、直ちに施術を中止して専門医の診療を受ける機会を与えるべき義務があり、被上告人にはこれらの注意義務を怠つた過失があつたものというべきところ、被上告人が本件断食道場でKに施した断食療法が診療というべきものであることを考慮すると、被上告人の右過失の態様は重大であり、Kにも過失があることを考えても、原審の定めた被上告人の過失割合は著しく低きにすぎ、右判断は裁量権の範囲を逸脱して違法であるといわなければならない。
タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック


 


   ホーム > 医療 > 最高裁・医療判例 > H 2. 3. 6 最三小 △(糖尿病、専門医の診療を受ける機会、過失相殺)