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■23 (旧1) (有責方向(12)) 最高裁第三小法廷 平成7年5月30日判決 <平成3年(オ)第2030号> KW:新生児核黄疸、脳性麻痺、退院時の説明・指導義務 (裁判官:可部恒雄、園部逸夫、大野正男、千種秀夫、尾崎行信) 判時1553号78頁、判タ897号64頁、裁時1147号2頁 <破棄差戻し> <S48.9.21出生、9.31退院、大崎産婦人科医院> <評釈等> 手嶋豊・判評451号39頁(判時1570号193頁)、河野泰義・判タ臨増945号110頁、松村弓彦・NBL617号60頁・別冊NBL45号282頁 <審級経過> 第一審:大阪地裁昭和62年11月9日判決 <昭和54年(ワ)第70号> (判時1289号87頁、判タ674号167頁) 控訴審:大阪高裁平成3年9月24日判決 <昭和62年(ネ)第2377号> ☆差戻後控訴審:大阪高裁平成8年12月12日判決 <平成7年(ネ)第1499号> (判時1603号76頁) (評釈等:浦木厚利・判タ臨増978号92頁) <要旨> 未熟児である新生児が退院後に核黄疸に罹患し脳性麻痺の後遺症が生じた場合につき、新生児を黄疸の認められる状態で退院させた医師の退院時における説明、指導等の措置に過失がないとした原審の判断には違法がある。 <コメント> * 説明・指導義務の内容の具体性に注目する必要がある。 * この判決は、直接には新生児核黄疸に関するものであるが、その趣旨はより広く生かされる可能性がある。つまり、「重篤な疾患に至る危険がある」場合、「最も注意を要する疾患の一つ」に罹患する危険がある場合であれば、同様の説明・指導義務が認められる可能性がある。 * また、本件は、患者を退院させる場合に関するものであるが、より広い適用の可能性としては、外来診療で入院させずに帰宅させる場合の説明・指導義務が考えられる。 * 「何か変わったことがあれば・・・」という「一般的注意」しか行わない場合は実際に結構多いと思われるが、「重篤な疾患に至る危険がある」場合は、具体的で詳しい説明・指導が求められることになろう。 * もっと広くは、患者の状態を観察する看護師に対して、医師がどのような症状に注意して観察すべきかを指示すべき場面でも、具体的な注意の内容の参考になろう。 |
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