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■24 (旧2) (有責方向(13)) 最高裁第二小法廷 平成7年6月9日判決 <平成4年(オ)第200号> KW:未熟児網膜症(姫路日赤病院)、医療水準、 (裁判官 中島敏次郎、大西勝也、根岸重治、河合伸一) ★民集49巻6号1499頁、判時1537号3頁、判タ883号92頁、裁時1148号3頁 ★調査官解説:田中豊・判解25事件(曹時48巻7号130頁、ジュリ1077号111頁) <破棄差戻し> <S49.12.11出生(聖マリア病院)、転医、姫路赤十字病院> <評釈等> 手嶋豊・別冊法時13号40頁・別冊ジュリ160号164頁、金川琢雄・判評444号39頁(判時1549号185頁)、稲垣喬・判タ884号59頁、波床昌則・判タ臨増913号94頁、新美育文・ジュリ臨増1091号63頁、丸山英二・別冊ジュリ140号162頁 <審級経過> 第一審:神戸地裁昭和63年7月14日判決 <昭和51年(ワ)第281号の2> 控訴審:大阪高裁平成3年9月24日判決 <昭和63年(ネ)第1898号> ☆差戻後控訴審:大阪高裁平成9年12月4日判決 <平成7年(ネ)第1588号> (約2040万円を認容) (判時1637号34頁、判タ977号204頁) <要旨> 診療契約に基づき医療機関に要求される医療水準 昭和49年12月に出生した未熟児が未熟児網膜症に罹(り)患した場合につきその診療に当たった医療機関に当時の医療水準を前提とした注意義務違反があるとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例 <コメント> * この判決は、直接には未熟児網膜症についての診療に関するものであるが、最高裁が、過失判断の基準になる医療水準について、「医療機関の性格、その所在する地域の医療環境の特性等の諸般の事情」を考慮すべきことを明言したものとして大きな意味がある。 なお、従来は、例えば、大学病院であるからといって一般の医療機関よりも高度の義務を負うものではないという主張が医療機関側から行われることもあった。 * 大学病院、特定機能病院、地域医療支援病院、中核病院、救急病院、専門性・高度性を標榜する病院や医師などは医療水準を上げる要素として考えるべきであろう。 * 「予算上の制約等の事情」により診療が制約される場合でも、一切免責されることにはならず、実施できる「他の医療機関に転医をさせるなど適切な措置を採るべき義務」があるとしたことも評価できる。 |
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