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■27 (旧4) (有責方向(16)) 最高裁第三小法廷 平成9年2月25日判決 <平成7年(オ)第1205号> KW:顆粒球減少症、開業医の義務、鑑定の評価 (裁判官:大野正男、園部逸夫、可部恒雄、千種秀夫、尾崎行信) ★民集51巻2号502頁、判時1598号70頁、判タ936号182頁、裁時1190号7頁、 ★調査官解説:野山宏・判解14事件(曹時51巻11号151頁、ジュリ1122号72頁) <破棄差戻し> <(T7.3.13生)、S51.3.17〜ニシカワ医院、4.14〜カマチ病院、4.16〜国立下関病院、4.23死亡> <評釈等> 野田寛・別冊法時16号73頁、吉田邦彦・判評468号37頁(判時1621号199頁)、田中敦・判タ臨増978号94頁、松村弓彦・NBL638号59頁・別冊NBL62号238頁 ★原告の著書:冨嶋克子『誤判―医療過誤裁判から司法改革への提言』(現代書館、2000-10) <審級経過> 第一審:山口地裁下関支部平成9年2月20日判決 <昭和54年(ワ)第79号> 控訴審:広島高裁平成7年2月22日判決 <平成元年(ネ)第99号> (判タ902号154頁) ☆差戻後控訴審:広島高裁平成10年9月21日判決 <平成9年(ネ)第97号> (約3960万円を認容、確定) <要旨> 医療過誤訴訟において鑑定のみに依拠してされた顆粒球減少症の起因剤の認定に経験則違反があるとされた事例 医療過誤訴訟において鑑定のみに依拠してされた顆粒球減少症の発症日の認定に経験則違反の違法があるとされた事例 顆粒球減少症の副作用を有する薬剤を長期間継続的に投与された患者に薬疹の可能性のある発疹を認めた場合における開業医の義務」 (開業医は、顆粒球減少症の副作用を有する多種の薬剤を長期間継続的に投与された患者について薬疹の可能性のある発疹を認めた場合においては、自院又は他の診療機関において患者が必要な検査、治療を速やかに受けることができるように相応の配慮をすべき義務がある。) <コメント> * この判決は、鑑定についての証拠評価を厳密にすべきことを指摘したものとして注目される。従来、裁判所が安易に鑑定によりかかって判決を出す傾向があったが、最高裁はそのような傾向に警鐘を鳴らし、鑑定の内容をきちんと吟味して判断をすべきことを示したと言える。なお、判例6も同様の意味がある。 * また、この判決は、開業医の役割について判示しており、過失判断の基準である医療水準が、医療機関の種類・状況等に応じて判断されるべきことをより一層明確にしたと言える。 |
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