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■29 (旧6) (有責方向(18)) 最高裁第三小法廷 平成11年3月23日判決 <平成8年(オ)第609号> KW:顔面けいれん、脳神経減圧手術、血腫の原因の認定、鑑定の評価 (裁判官:金谷利廣、園部逸夫、千種秀夫、尾崎行信) 判時1677号54頁、判タ1003号158頁、訟月45巻12号2413頁、裁時1240号2頁 <破棄差戻し> <(S8.12.27生)、S57.5.17手術、神戸大学医学部附属病院> <評釈等> 稲垣喬・民商121巻6号97頁、新美育文・別冊法時21号54頁、田中敦・判タ臨増1036号102頁 <審級経過> 第一審:神戸地裁 平成6年8月26日判決 <昭和58年(ワ)第877号> 控訴審:大阪高裁 平成7年12月1日判決 <平成6年(ネ)第2446号> ☆差戻後控訴審:大阪高裁 平成13年7月26日判決 <平成11年(ネ)第1126号> (1200万円を認容、上告・上告受理申立) (判時1797号51頁、判タ1095号206頁) ☆差戻後上告審:最高裁第一小法廷 平成15年4月24日決定 (双方の上告を斥けた) <要旨> 脳神経減圧手術の後まもなく発生した脳内血腫等により患者が死亡した事案につき脳内血腫等の原因が右手術にあることを否定した原審の認定判断には違法がある。 <コメント> * この判決も、判例4ともに、鑑定についての証拠評価を厳密にすべきことを指摘したものとして注目される。安易に鑑定(の内容、特に結論)に依存しすぎる姿勢に警鐘を鳴らし、鑑定の当否を裁判所が十分にチェックすべきことを求めたと言える。 * 事実認定にかなり踏み込んだ判決である。つまり、「手技ミス」以外の原因による可能性が否定できないことをもって、「手技ミス」に起因するのではないかとの強い疑いを生じさせる諸事実を無視したとして、原審判決を批判した。原審判決のこのような手法は、いろいろな場面で使われている。「A以外の可能性が否定できない」=「Aではない」とする飛躍に注意する必要がある。 |
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