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■37 (旧13) (有責方向(26)) 最高裁第三小法廷 平成13年11月27日判決 <平成10年(オ)576号> KW:乳がん、温存療法、説明義務 (裁判官:奥田昌道、千種秀夫、金谷利廣、濱田邦夫) ★民集55巻6号1154頁、判時1769号56頁、判タ1079号198頁、裁時1304号11頁 ★調査官解説:中村也寸志・判解26事件(曹時55巻4号262頁、ジュリ1229号58頁、ジュリ増刊(最高裁時の判例2)135頁) <破棄差戻し> <(S23生)、H3.2.28手術、泉佐野市の医院> <評釈等> 手嶋豊・民商126巻6号148頁・ジュリ臨増1224号90頁、塩崎勤・民事法情報189号57頁、新美育文・別冊法時26号26頁 <審級経過> 第一審:大阪地裁 平成8年5月29日判決 <平成5年(ワ)4274号> (判時1594号125頁、判タ928号240頁) 控訴審:大阪高裁 平成9年9月19日判決 <平成8年(ネ)1678号・平成9年(ネ)1801号> (判時1635号69頁、判タ972号251頁) (評釈:稲垣喬・判評478号28頁(判時1652号190頁)) ☆差戻後控訴審:大阪高裁 平成14年9月26日判決 <平成13年(ネ)4020号> (120万円を認容) (判タ1114号240頁) ☆差戻後上告審:最高裁第一小法廷 平成15年6月12日決定 (上告を斥けた。) <要旨> 「乳がんの手術に当たり当時医療水準として未確立であった乳房温存療法について医師の知る範囲で説明すべき診療契約上の義務があるとされた事例」 (乳がんの手術に当たり、当時医療水準として確立していた胸筋温存乳房切除術を採用した医師が、未確立であった乳房温存療法を実施している医療機関も少なくなく、相当数の実施例があって、乳房温存療法を実施した医師の間では積極的な評価もされていること、当該患者の乳がんについて乳房温存療法の適応可能性のあること及び当該患者が乳房温存療法の自己への適応の有無、実施可能性について強い関心を有することを知っていたなど判示の事実関係の下においては、当該医師には、当該患者に対し、その乳がんについて乳房温存療法の適応可能性のあること及び乳房温存療法を実施している医療機関の名称や所在をその知る範囲で説明すべき診療契約上の義務がある。) <コメント> * 治療法につき医療水準として確立していない(したがって、その治療法を行うべきであるとまでは言えない)場合であっても、選択可能な他の治療法について一定の説明義務を認めたものとして重要である。 |
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