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■38 (旧14) (有責方向(27)) 最高裁第三小法廷 平成14年9月24日判決 <平成10年(オ)1046号> KW:がん、家族への告知など (裁判官:金谷利廣、奥田昌道、濱田邦夫、上田豊三(反対意見)) 判時1803号28頁、判タ1106号87頁、裁時1324号1頁 <上告棄却> ((T2.10.5生)、H2.11〜H3.1ころ、財団法人秋田県成人病医療センター) <評釈> 和根崎直樹・判タ臨増 1154号54頁(平15主判解)、岡林伸幸・判評 534号15頁(判時1821号177頁)、飯塚和之・NBL 761号71頁、(最高裁判決速報)・民事法情報 195号44頁、一木孝之・法政論集(北九州市立大学) 31巻2〜4号1頁、草野類・法学新報(中央大学) 110巻9・10号247頁、伊澤純・成城法学 69号311頁、中村哲也・法政理論(新潟大学) 38巻4号112頁、角田ゆみ=川嶋知正・Niben frontier 63号34頁、平沼明・民事法情報 196号91頁、野村好弘 他・賠償科学 32号125頁、寺沢知子・年報医事法学 18号153頁、久々湊晴夫・北海道医療大学人間基礎科学論集 29号65頁、河原格・法教 271号114頁、古積健三郎・法セ 582号115頁、新美育文・リマークス 28号26頁(2004年上)、岩嵜勝成・判例地方自治 267号111頁 <審級経過> 第一審:秋田地裁 平成8年3月22日判決 <平成5年(ワ)90号> (判時1595号123頁) 控訴審:仙台高裁秋田支部 平成10年3月9日判決 <平8(ネ)37号> (120万円を認容) (判時1679号40頁、判タ1024号253頁) (評釈等:河本晶子・判タ臨増1036号128頁) <要旨> (末期がんの患者本人にその旨を告知すべきでないと判断した医師が患者の家族にその病状等を告知しなかったことが診療契約に付随する義務に違反するとした。) <コメント> * 「患者が末期的疾患に罹患し余命が限られている旨の診断をした」ときについて、 どのような場合に医師が患者本人にその旨を告知すべきか否かについての判断基準を述べた最高裁判例はまだないと思う。 医師の判断については、次の2つに場合に分かれる。 (1)「医師が患者本人にはその旨を告知すべきで」ある「と判断した場合」 この場合の告知の仕方等の判断基準を述べた最高裁判例もまだないと思う。 (2)「医師が患者本人にはその旨を告知すべきではないと判断した場合」 本判決は、この場合に関するものであり、「患者本人やその家族にとってのその診断結果の重大性に照らすと、当該医師は、診療契約に付随する義務として、少なくとも、患者の家族等のうち連絡が容易な者に対しては接触し、同人又は同人を介して更に接触できた家族等に対する告知の適否を検討し、告知が適当であると判断できたときには、その診断結果等を説明すべき義務を負う」とした。 どのような場合に「家族等に対する告知」「が適当であると判断」すべきであるのかについての判断基準は直接には判示されていないと言えようが、「家族等に対する告知」も不適当であるという判断が許される場合は実際上かなり限定されるであろう。 |
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