ホーム > 医療 > 最高裁・医療判例 > |
■39 (旧15) (有責方向(28)) 最高裁第二小法廷 平成14年11月8日判決 <平成12年(受)1556号> KW:スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、医薬品の添付文書、副作用の観察 (裁判官:福田博、北川弘治、亀山継夫、梶谷玄) 判時1809号30頁、判タ1111号135頁、裁時1327号1頁 <破棄差戻し> <(S42.7.7生)、S61.2.12〜4.11入院、C病院、その後、国立療養所加茂病院に転院) <評釈> 桧山聡・判タ臨増 1154号86頁(平15主判解)、高嶌英弘・判評 540号10頁(判時1840号172頁)、加藤新太郎・NBL 767号64頁、(最高裁判決速報)・民事法情報 197号35頁、良永和隆・ハイローヤー 223号21頁(2004年5月号)、高橋典明・労働法律旬報 1548号36頁、前田陽一・法教 274号136頁、手嶋豊・民商 129巻4・5号257頁 藤田康幸・日経メディカル2003年3月号101頁 <審級経過> 第一審:広島地裁 平成5年9月20日判決 <昭和62年(ワ)280号> (判時1527号128頁、判タ871号266頁) 控訴審:広島高裁 平成12年8月10日判決 <平成5年(ネ)371号> <要旨> (医薬品添付文書に過敏症状と皮膚粘膜眼症候群の副作用がある旨記載された薬剤を継続的に投与中の患者に発疹(しん)等を認めた医師に同症候群発症についての過失がないとした原判決に違法があるとした。) <コメント> * 薬剤の副作用に関するものであり、直接には、 [1]精神科医、 [2]フェノバール(催眠・鎮静・抗けいれん薬)という薬剤、 [3]皮膚粘膜眼症候群(SJS)という副作用、 [4]入院診療に関するケース について注意義務を判断したものである。 しかし、この判決の影響が及ぶ範囲はもっと広いと考えるべきだろう。 まず、[1]に関しては、薬剤を診療に用いるのは精神科医に限らないから、薬剤を用いる医師一般についても同じような判断が下されると予想するべきだろう。 また、[2]と[3]に関しても、注意すべき副作用はフェノバールによるSJSに限らないから、各種薬剤の副作用の重要なものに及ぶと考えるべきだろう。 [4]に関しては、入院診療と外来診療とでは、経過観察義務の範囲や程度などが大きく異なるだろうから、外来診療についても同様に判断されるとは限らないだろう。 * この判決は、判例1(三小・平成8年1月23日判決)とともに、薬剤の使用に伴う医師の注意義務に関しての重要な判例である。 |
ホーム > 医療 > 最高裁・医療判例 > H14.11. 8 最二小 △(スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)、医薬品の添付文書、副作用の観察) |