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■４０ （旧16） （有責方向(29)） 最高裁第三小法廷 平成１５年１１月１１日判決 ＜平成１４年（受）第１２５７号＞ ＫＷ：急性脳症の後遺症、開業医、転送、因果関係（相当程度の可能性）など (裁判官：濱田邦夫、金谷利廣、上田豊三、藤田宙靖） ★民集５７巻１０号１４６６頁、判時１８４５号６３頁、判タ１１４０号８６頁、裁時１３５１号９頁 ★調査官解説：▲？ ＜破棄差戻し＞ ＜(S51.8.4生)、S63.9～10、川西市の医院＞ ＜評釈＞ 松並重雄・判解24事件・曹時 58巻4号261頁、白石史子・判タ臨増 1184号74頁（平16主判解）、志村由貴・ジュリ 1344号65頁、溜箭将之・ジュリ 1344号47頁、西田祥平・ジュリ 1344号42頁、松並重雄・ジュリ 1278号128頁、大塚直・ジュリ臨増 1269号85頁（平15重判解）、前田達明・判評 555号20頁（判時1885号190頁）、林道晴・NBL 792号68頁、（最高裁判決速報）・民事法情報 209号48頁、良永和隆・ハイローヤー 229号56頁（2004年11月号）、石月真樹・法学（東北大学） 70巻1号118頁、松原孝明・大東法学 15巻1号189頁、平沼高明＝伊藤文夫＝野村好弘 他・賠償科学 33号119頁、澤野和博・年報医事法学 20号139頁、平沼髙明・民事法情報 218号98頁、塩崎勤・民事法情報 212号63頁、手嶋豊・法教 294号20頁（別冊・判例セレクト’04）、寺沢知子・法教 285号80頁、小池泰・民商 130巻4・5号272頁、新美育文・リマークス 31号46頁（2005年下）、岡林伸幸・法時 77巻8号120頁、医事法令社・医療判例解説 11号67頁 ＜審級経過＞ 第一審：神戸地裁 平成１３年１月２５日判決 ＜平成８年（ワ）第９１３号＞ 控訴審：大阪高裁 平成１４年３月１５日判決 ＜平成１３年（ワ）第７８５号＞ ＜要旨＞ 「開業医に通院治療中の患者を高度な医療を施すことのできる適切な医療機関へ転送すべき義務を怠った過失があるとされた事例」 「患者を適時に適切な医療機関へ転送すべき義務を怠った過失が医師にある場合において、上記転送が行われていたならば患者に重大な後遺症が残らなかった相当程度の可能性の存在が証明されるときの医師の不法行為責任」 ＜コメント＞ ＊ 本判決は、判例９（二小・平成１２年９月２２日）が「死亡」という結果について述べた法理を「重大な後遺症」にまで射程を広げたものである。実務への影響は大きい。 ＊ 「重大でない後遺症」にまで及ぶかどうかは問題であるが、差別扱いをする理論的理由はないのではないかと思う。 ＊ 「相当程度の可能性」についてであるが、「原判決の引用する前記の統計によれば、昭和５１年の統計では、生存者中、その６３％には中枢神経後遺症が残ったが、残りの３７％（死亡者を含めた全体の約２３％）には中枢神経後遺症が残らなかったこと、昭和６２年の統計では、完全回復をした者が全体の２２．２％であり、残りの７７．８％の数値の中には、上告人のような重大な後遺症が残らなかった軽症の者も含まれていると考えられることからすると、これらの統計数値は、むしろ、上記の相当程度の可能性が存在することをうかがわせる事情というべきである」とする判示からすると、二十数％以上と考えることができようか。 |
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