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H18.10.24(最三小 決定)(△、新3種混合(MMR)ワクチン)


最高裁第三小法廷 平成18年10月24日 決定
(MMR、見舞金)
 
(裁判官:上田豊三ほか)

 副作用が多発した新3種混合(MMR)ワクチンをめぐり、接種後に死亡した兵庫県内の男児(当時1歳)の遺族が、国に損害賠償を求めた訴訟の上告審。

 最高裁第三小法廷(上田豊三裁判長)は、遺族側の上告を受理しない決定をした。
 これにより、遺族側の請求を退けた判決が確定した。

 遺族側の請求を退けた1審・大阪地裁判決後、ワクチンメーカーの財団法人「阪大微生物病研究会」は見舞金として2000万円を支払った。2審は死亡との因果関係は否定したが、初期症状をMMRの副作用として国の責任を認定。その上で「見舞金は損害補償の性質がある」と請求を退けていた。

(産経など)


第一審:H15. 3.13 大阪地裁
平成15年 3月13日 大阪地裁 判決 <平5(ワ)12535号 ・ 平8(ワ)4262号
一部認容、一部棄却、一部確定、控訴

要旨
混合ワクチン(MMR)の予防接種を受けた小児が、その副作用により死亡又は重篤な後遺障害を残す被害を受けた場合、同ワクチンを製造した法人に過失があり、国には同法人の指導監督義務の違反があったとして、被害児及び遺族の同法人及び国に対する損害賠償請求が認容された事例

出典
裁判所ウェブサイト
判タ 1152号164頁、判時 1834号62頁
ウエストロー・ジャパン(新日本法規提供)

控訴審:H18. 4.20 大阪高裁
平成18年 4月20日 大阪高裁 判決 <平15(ネ)1329号 ・ 平15(ネ)2975号>
事件名 損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件 〔MMR事件・控訴審〕
裁判結果 一部控訴棄却、一部取消 上訴等 上告

要旨
新三種混合ワクチン(MMRワクチン)の接種による副反応によって生じた重度障害又は死亡の被害につき、ワクチン製造業者に対する国の指導監督義務違反による過失責任が認められた事例

出典
判時 1949号38頁
ウエストロー・ジャパン

評釈
山口浩・行政関係判例解説 平成18年 220頁
石井義規・みんけん:民事研修 593号25頁

 大阪高裁(横田勝年裁判長)は、違法な製造変更を行ったワクチン製造者に対する国の指導監督義務違反を再び認定したが、第一審被告の製造者が既に賠償金などを支払ったことにより損害は補てんされたとして、3家族の請求を棄却した。
 国は形式的に勝訴したため上告できず、国の過失責任を認めた司法判断が確定する。
 判決は、予防接種の実施主体である国が、ワクチンを製造した財団法人阪大微生物病研究会(微研会)(大阪府吹田市)などに対して、薬事法に基づく立ち入り検査などをすべきであったのに何もしなかったとして、国の過失を肯定した。
 第一審・大阪地裁判決が請求を棄却した兵庫県の男児(死亡当時1歳6か月)についても、接種と死亡との因果関係は認めなかったものの、副作用に関して国の責任を肯定した。

(読売、朝日など)

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