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H18. 3.15 東京地裁(35部)  ○(分娩監視、陣痛促進剤、低酸素性虚血性脳症、因果関係)

平成18年 3月15日 東京地裁 判決 <平14(ワ)10365号>
請求認容

要旨
被告が経営する診療所で出産した子が分娩の過程で低酸素性虚血性脳症を発症したことによる損害賠償を請求した事案において、上記脳症の原因事実は陣痛促進剤(アトニン)の投与にあるものと認定し、アトニンの点滴投与に当たり、分娩監視装置を装着するなど分娩を監視すべき注意義務にも怠りがあったとして医師の過失を認定したが、当該過失と子の脳障害との間の因果関係につき、仮に上記過失が無かったとしても本件のような重篤な低酸素性虚血性脳症という後遺障害が残らなかったことについて相当程度の可能性があったことは認められるが、それ以上に高度の蓋然性が存在することの証明が尽くされたということはできないとして因果関係を否定した事例
生まれてきた子の脳障害と医師の過失との因果関係を否定しつつも、適切な医療行為を被告から受けていたならば上記重大な後遺症が残らなかった相当程度の可能性を侵害されたことによる損害を賠償すべき不法行為責任が被告にはあるとし、生まれてきた子(後に死亡)の遺族である原告ら両親の本件請求はこのような請求をも包含するものと解されるとして、近親者の慰謝料請求そのものは退けられたが上記可能性侵害についての子の精神的損害の慰謝料と弁護士費用が原告らの損害賠償請求の一部として認容された事例

(裁判官 金井康雄、 本吉弘行、 望月千広)

出典
裁判所サイト
ウエストロー・ジャパン
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