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平成14年 5月14日 那覇地裁 判決 <平7(ワ)818号> 請求棄却 事案の概要 (1) 原告Aと同Bは、昭和55年12月27日に婚姻し、3女をもうけた。 被告は、那覇市立病院を設置し、これを管理運営する者であり、訴外C産婦人科医師(以下「C医師」という。)及び訴外D小児科医師(以下「D医師」という。)は、同病院に勤務する者である。 (2) 原告B(昭和26年11月12日生)は、原告Aの子を妊娠し、平成4年3月5日ころから那覇市立病院に通院していた。原告Bの妊娠状態は、前置胎盤であったが、胎児も順調に成長し、出産予定日は同年12月15日であった。 同年11月7日、母体性器から出血が見られたので、C医師は、同日、帝王切開術を行い、出産は成功したが、胎児は仮死状態で出生した。生まれた子は後日「E」と命名された。 Eは、出産後自発呼吸がなかったので、D医師らは、気管内挿管による人工呼吸を試み、出産から20分後に自発呼吸を得た。その後、引き続き挿管による呼吸管理が行われたが、Eは、翌8日19時、呼吸不全に陥り死亡した。 また、C医師は、事前に原告Bの同意がなかったにもかかわらず、帝王切開の際、原告Bの子宮を全部摘出した。 2 原告らの主張 (1)ア C医師は、帝王切開術を実施するに当たり、胎児側の胎盤を切ることのないよう注意する義務があるのにこれを怠り、胎児側の胎盤を切って出血させ、Eを出血性ショックによる仮死状態に陥らせた。 イ D医師は、Eの呼吸管理を行うに際して、気管内に変性壊死組織が詰まることのないよう注意すべき義務があるのにこれを怠り、本来なら挿管には内径3mmないし3.5mmのチューブを使用すべきところを内径2mmのチューブを使用し、吸引も十分に行わなかったため、Eに変性壊死組織による気管狭窄を生じさせ、呼吸不全に陥らせた。 ウ 仮にEの死因が呼吸窮迫症候群(Respiratory distress syndrome、RDS)であるとしても、D医師は、サーファクタントの追加投与を行うなどして十分に治療すべき義務があるのにこれを怠り、その治療として投与したサーファクタントの量(1瓶)が不十分であり、更に自ら回診するのを怠ってサーファクタントの追加投与の時期を失したため、Eを呼吸窮迫症候群によって死亡させた。 エ C医師は、原告Bの子宮を摘出するに当たって、原告Bの同意を得るべきであるのにこれを怠った。 C医師及びD医師の上記行為は、原告ら及びEに対する不法行為を構成し、被告は、C医師及びD医師の使用者として、不法行為責任を負う。 出典 裁判所サイト ウエストロー・ジャパン |
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