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H21. 1. 9 福岡地裁  ○(腎臓がんの手術、死亡、手術ミスと異常放置を認定、福岡青洲会病院)

平成21年 1月 9日 福岡地裁 判決 <平17(ワ)2552号>
一部認容、(控訴)

要旨
 被告の開設する病院で左腎摘出術を受けた腎癌患者が死亡したことにつき、患者の子である原告らが、担当医師に過失があるとして、損害賠償を求めた事案において、病理解剖及び解剖医の証言等に基づく本件認定事実によれば、患者に門脈不全が生じて肝梗塞が生じた点につき、担当医師には、その必要のない上腸間膜動脈を結紮した過失が認められ、また、被告病院医師らには、肝臓異常を疑い、速やかに適切な検査や処置等を行うべき注意義務を怠った過失があるなどとして、請求を一部認容した事例
 医療事故により死亡した当時45歳の腎臓がん男性患者の損害の算定において、逸失利益については、事故前年の年収を基礎に、就労可能期間を1年6月と、生活費控除率を4割としてその額を算定し、死亡慰謝料については、本件事故がなくても、患者の予後の見通しは極めて厳しかったと認められること等を考慮し、850万円を認めた事例

出典
判時 2047号145頁

(裁判官 永松健幹、松永栄治、南場裕美子)

 がんと診断された腎臓の摘出手術直後に死亡した福岡市の男性(当時45歳)の遺族が、主治医の執刀ミスなどが原因として、医療法人青洲会(長崎県平戸市)に約1億1900万円の損害賠償を求めた訴訟。
 男性は、2004年5月に左腎臓がんと診断され、青洲会が開設する福岡青洲会病院(福岡県粕屋町)に入院し、主治医の執刀で左腎臓の摘出手術を受けたが、術後から肝臓の状態が悪化し3日後に死亡した。

 福岡地裁(永松健幹裁判長)は、手術時に必要のない動脈を縛ったことにより、肝梗塞(こうそく)を起こし心肺停止につながったと指摘するとともに、術後の経過についても、血液検査で肝臓の異常を示す数値が出ていたが、適切な検査や処置を怠ったとして、主治医らの過失と死亡との因果関係を認定し、計約1900万円の賠償を命じた。
 なお、がんの所見などから男性の5年生存率が0%に近かったとして損害額を算定した。

(毎日、時事など)

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