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H21. 3.12 東京地裁(30部)  ○(出血が長期間、内視鏡検査、説明義務、がん、死亡、東京医科大病院)

平成21年 3月12日 東京地裁 判決 <平18(ワ)29975号>
一部認容

要旨
 被告病院を開設する学校法人の診療を受けていた患者が、大腸癌に罹患していたのに癌の発見が遅れて死亡したことから、同患者の遺族である原告が損害賠償を請求した事案で、当初の被告医師の診断には特に問題は見受けられないとして同医師への請求は棄却したものの、その後に被告病院の別の医師に患者がかかった際には、癌の存在を疑い、検査義務及び説明義務があったのにこれを怠った過失があり、当該説明義務違反による過失と患者の死亡との間にも因果関係があることを認定判示して、被告病院に対する損害賠償請求を一部認容した事例
 説明義務違反と相当因果関係にある損害につき、患者の治療費の2分の1は説明義務違反がなくても必要であったとして控除し、死亡逸失利益は健康時の年額収入に生活費控除率、手術後の収入減額による労働対価率、直腸切除が行われた場合の労働制限による減額率及び説明義務が尽くされた場合の就労可能期間に対応するライプニッツ係数を乗じて算定した事例

出典
ウエストロー・ジャパン

(裁判官 秋吉仁美、田代雅彦、古谷真良)

 大腸を内視鏡で検査しなかったためがんの発見と手術が遅れ、東京都中野区の男性=当時(55)=が死亡したとして、妻(57)が東京医科大(東京)や担当医に慰謝料など計約9900万円の損害賠償を求めた訴訟。
 男性は軟便時に出血があり2001年2月、同大病院で受診したが、担当医は痔と診断した。その後も出血が続いたため、男性は2002年3月に再受診し、がんが見つかった。手術を受けたが、肝臓への転移が原因で2005年1月に死亡した。

 東京地裁(秋吉仁美裁判長)は、男性は軽症の痔なのに、治療後も出血が長期間続いたから、医師はがんの可能性を疑い、直ちに内視鏡検査を勧めるべきだったとし、検査でがんを発見、手術していれば救命可能だったとして、医大側に約5700万円の賠償を命じた。

(共同、日経など)

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