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<H19. 3.29 東京地裁 判決から> カ 脳症,脳炎(乙B16,21) (ア) 疾患概要 脳炎は,中枢神経系症状を認め,髄膜炎を伴うので髄液所見から推定されている。しかし,遺伝子診断法の進歩により,髄液で細胞増多がなく脳症様の髄液所見を呈していても,髄液中からウイルスの分離やPCR法によりウイルスゲノムの検出を認めることがあり,この場合が脳炎と診断される。 他方,急性脳症は,予後不良疾患であるが,誘因から感染性,低酸素性,代謝,中毒性が挙げられているものの原因は明らかにされておらず,定義も曖昧である。嘔吐,不機嫌,全身倦怠などの前駆症状に引き続き,高熱,意識障害,痙攣が急激に出現し,これらの症状は刻々と重症化し,脳神経障害などが合併してくる。治療は対症療法であるが,主病態である脳浮腫とそれに伴う頭蓋内圧亢進に対する治療が基本となる。 なお,急性脳症のうち,急性壊死性脳症といわれる病態の分類基準は,下記のとおりとされている。 記 @ ウイルス性発熱疾患に続発した急性脳症,意識レベルの急速な低下,痙攣 A 髄液細胞増多(−),髄液タンパクの増加多い。 B 頭部CT,MRIによる対称性・多発性脳病変の証明,両側視床病変は必須。大脳白質(側脳室周囲),内包,被殻,中脳,橋の被蓋,小脳髄質(歯状核周囲)にも病変を認めることあり。 C 血清トランスアミナーゼ値の上昇。S-NH3は正常範囲内 D 鑑別診断 A 臨床的見地から B 神経放射線学的,神経病理学的見地 (イ) 臨床症状,検査所見 発熱とともに痙攣重積,意識障害に陥ることが多い。急性致死性脳症での除脳硬直,弛緩性は脳幹障害を疑わせる。血液ガス検査により代謝性アシドーシスになっているかどうかを注意する。画像所見としては,急性致死性脳症では,両側対称性の視床病変を認めることがある。 |
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