ホーム > 医療 > 医学的知見 >  

アルコール性肝障害、肝臓癌

以下の判例から
前掲
平成19年 7月30日 大阪地裁 判決 <平18(ワ)1889号>


(続き)
   ウ アルコール性肝障害について
 (ア) アルコール性肝障害とは、アルコール及びその代謝によって生じる過剰の補酵素による代謝異常と、代謝産物のアセトアルデヒドの肝毒性により発生する肝病変である。
 なお、アルコール性肝障害と考えられていた症例の一部に肝炎ウイルスの関与が証明されており、これは、ウイルス性肝炎の合併と分類され、純粋なアルコール性肝障害とは区別される。我が国においては、純粋なアルコール性肝障害とアルコール性肝障害・ウイルス性肝炎の合併症の比は約六対四と推察されている。
 (イ) アルコール性肝障害の診断の目安は、習慣性の中等度以上の飲酒があること、通常、アルコール以外に肝障害の成因が認められないこと(肝炎ウイルスマーカーが陰性)、肝機能障害(特に、肝腫大、GOT、GPT、γ―GTP)が禁酒により明らかな改善を示すことである。
 アルコール性肝炎の場合、血清ビリルビンの上昇(一般に一〇以下のことが多い。)、GOT活性の増加が明らかで、GOT
GPT比の上昇が著しい(GOTが四〇〇〜五〇〇に上昇するときにも、GPTは五〇〜一〇〇程度にとどまることが多い。)。血清LDH活性もしばしば高値を呈する。γ―GTP活性の上昇が特に著しく、時に一〇〇〇以上にも上昇することがある。末梢血は、典型例では白血球増多を来す。血小板の減少は肝硬変がない場合にも認められる。
 (ウ) アルコール性肝障害の治療は、断酒が必須である。

   エ 肝臓癌について
 (ア) 我が国の肝細胞癌の九二・六%はウイルス感染症(HCV抗体陽性七六%、HBs抗原陽性一六・六%)が原因である。
 (イ) 肝臓癌の早期発見のため、腫瘍マーカー検査(PIVKAU、AFP)、画像診断(腹部エコー検査。ハイリスク群では、熟練した術者による丹念な検査が三か月ごとに必要となる。)が有効である。また、インターフェロンの投与により、肝線維化の防止、肝臓癌抑止が期待できる。
 (ウ) 肝細胞癌の治療選択は、肝切除術、肝動脈塞栓術、エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法があるが、合併する肝障害の程度によって規定される。
タイトル
お名前
email
ご感想
ご確認 上記内容で送信する(要チェック


 


   ホーム > 医療 > 医学的知見 > アルコール性肝障害、肝臓癌