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以下の判例から 平成19年 7月26日 東京地裁 判決 <平16(ワ)17033号> 請求棄却 要旨 ◆ 被告の開設する病院に入院して、総胆管結石の検査及び切石のためERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影法)及びEPBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)による処置を受け、その処置後に急性膵炎を発症して死亡した患者の遺族が被告病院に診療契約上の義務ないし診療上の注意義務に違反があったとして請求した損害賠償が、上記処置に先立つ急性膵炎発症の危険に関する説明義務違反、医師の手技ミス、その他急性膵炎発症前後における医師の諸処置における実施義務違反はいずれも証拠上認められないとして、棄却された事例 出典 裁判所サイト、ウエストロー・ジャパン (4) 本件で前提となる医学的知見は,以下のとおりである。 ア ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影法)(乙B6,10,43) (ア) ERCPとは,内視鏡を用い,直視下にて乳頭開口部から造影用チューブを挿入し,非観血的に胆管や膵管を逆行性に造影する検査法である。 (イ) ERCPの手技の概略は,下記@ないしFのとおりである。 @ 内視鏡を十二指腸下行部へ挿入し,乳頭を見つける。 A 乳頭を正面視できるようにスコープの位置を調整する。乳頭をよく観察する。 B 乳頭の開口部を確認し,造影用カテーテル内の空気を追い出し,造影剤で満たしてから,開口部へ挿管する。 C X線モニターによる透視下に造影剤の注入を行い,撮影部位を素早く確認する。 D 造影部位により,造影剤の量,体位などを決めてX線写真の撮影を行う。 E 目的とする造影部位が得られていない場合は,挿管の角度や方向を変えてやり直す(その後の操作は,C,Dと同じ。)。 F スコープを抜去し,体位変換などを行い,X線写真を撮影する。 イ EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)(乙B6) ESTとは,内視鏡下に特殊な電気メスを用いて,乳頭括約筋の切開を行い,大きく切開した開口より結石の除去や胆汁のドレナージを行う方法である。 ウ EPBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)(甲B2,45の2・3・5・6,乙B9,42) (ア) EPBDとは,乳頭拡張用バルーンカテーテルをワイヤーガイドにより乳頭に置き,拡張して総胆管にアプローチする方法である。 (イ) 総胆管結石に対するEPBDの手技の概略は,下記@ないしEのとおりである。 @ ERCPと同様の手技により胆管を造影し,結石の有無,大きさ,数を確認する。 A ディープカニュレーション後,ガイドワイヤーを挿入する。 B ガイドワイヤーに沿って乳頭拡張用バルーンを挿入し,その後緩徐に乳頭を拡張する。 C 排石用バスケットカテーテルや排石用バルーンを用いて切石する。 D 洗浄用バルーン等を用いて肛門部側より生食等で洗浄する。 E 造影等により遺残結石の有無を確認する。 (続く) |
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