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MRSA、敗血症

以下の判例から
平成19年 2月14日 名古屋地裁 判決 <平15(ワ)5307号>


(続き)
 c アルベカシン(ハベカシン)
 (効能・効果)
 メチシリン・セフェム耐性の黄色ブドウ球菌のうち本剤感性菌による敗血症,肺炎。
 (用法・用量)
 通常,成人に硫酸アルベカシンとして1日150ないし200mg(力価)を2回に分け,筋肉内注射又は点滴静注する。点滴静注においては,30分ないし2時間かけて注入する。なお,年齢,体重,症状により適宜増減する。
 (腎毒性,聴器毒性)
 アミノグリコシド系薬の一員として,アルベカシンには当然,聴器毒性,腎毒性をもたらす可能性がある。薬剤の添付文書によれば,腎障害患者に対しては,アルベカシンのみが原則禁忌で,バンコマイシン及びテイコプラニンでは慎重投与となっている。

 d ムピロシン(バクトロバン)
 黄色ブドウ球菌はしばしば鼻腔前庭に定着し,ここから他の場所ないしは個体に伝播して定着・感染の源となる。そこで,MRSA感染症の防止策として鼻腔前庭のMRSAの除菌が試みられ,ポビドンヨード,ピオクタン,オフロキサシン点鼻などが行われたが,満足すべき結果は得られていない。英国ではムピロシン鼻腔用軟膏が用いられた結果,良好な成績が得られ,「MRSA対策の方針」の中でもムピロシンの有用性について記載されている。

   イ 敗血症(甲B12添付の文献5)
    (ア) 敗血症は,体内の感染病巣から細菌などの微生物あるいはその代謝産物が血液内に流入することにより引き起こされる重篤な全身症状を呈する臨床症候群である。
 敗血症を起こしやすい患者背景には,宿主要因として悪性腫瘍,糖尿病,腎不全,肝硬変,膠原病,広範囲熱傷,HIV感染などの基礎疾患や未熟児,高齢者のほか,抗腫瘍薬,免疫抑制薬,副腎皮質ステロイド投与,放射線治療による好中球減少症などの感染防御能の低下,各種外科的処置,血管内・尿道カテーテルなどの医療処置などがある。
    (イ) 敗血症では,全身症状,原発感染病巣による症状,転移性感染病巣による症状,合併症による症状が混在して認められる。全身症状としては,悪寒戦慄を伴う急激な高熱,頻脈,頻呼吸,意識障害,消化器症状などがあり,重篤感を伴う。しかし,これらの症状は特異性に欠け,症状のみから診断を確定するのはしばしば困難である。
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