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造影剤、アナフィラキシーショック

以下の判例から
前掲
平成18年 4月27日 東京地裁 判決 <平14(ワ)27719号>


 2 造影剤(甲B4ないし6,8ないし10,24ないし27,乙B3ないし7,調査嘱託の結果)
  (1) イオパミロン
   ア イオパミロンは,非イオン性低浸透圧ヨード造影剤であり,バイアル製剤(ガラス瓶型製剤)である「イオパミロン150」,「イオパミロン300」,「イオパミロン370」とシリンジ製剤(注射器型製剤)である「イオパミロン300シリンジ」,「イオパミロン370シリンジ」がある(製品名に付された数字はヨード含有量(mg
mL)に対応している。)。
 イオパミロンの効能・効果及び用法・用量は,別紙Iopamironのとおりである。
   イ 平成14年1月当時のイオパミロン(バイアル製剤)の添付文書は,別紙添付文書(甲B第4号証。以下「本件添付文書」という。)のとおりである(なお,本件添付文書は同月に改定され,その改訂版が同年2月以降生産分の添付文書(甲B第6号証)として使用されている。)。
  (2) 非イオン性低浸透圧ヨード造影剤は,イオン性高浸透圧造影剤と比較して副作用の発現率が有意に低く,近年の日常診療におけるCTや血管撮影等の画像診断において不可欠な薬剤となっている。
  (3) 副作用
   ア 造影剤の副作用は軽症から重篤なものまで多岐にわたるが,中でもアナフィラキシーショックは患者の生命に関わる。
 造影剤によるアナフィラキシーショックのメカニズムは不明であり,発現の確実な予知・予防方法は確立されていない。
 脱水は,急性腎不全,不整脈及び血圧低下等の重篤な副作用の誘因となるので,脱水を起こしやすい患者については,極端な飲水制限は避けるべきとされている。
 アレルギー歴がなく,過去の造影剤使用時に副作用がなかったとしても,今回の造影検査時に副作用が起こらないということにはならない。
 そこで,アナフィラキシーショック等の重篤な副作用の発現に備えて,緊急事態に迅速で組織的な対応ができる態勢の構築が必要となる。例えば,救急処置に必要な機器及び薬品の整備,迅速な一次救命処置の開始,救急医,循環器疾患専門医等の二次的救命処置治療チームへの連絡態勢の構築が挙げられる。通常,放射線科医師は,アナフィラキシーショックのような重篤な副作用が発現するような事態に直面することが少なく,気道確保や心拍停止に対する処置,輸液管理等に熟練している者が少ないため,二次的救命処置治療チームによる速やかな対応が必要かつ重要となる。
   イ 統計・調査
 造影剤(イオパミロンを含む。)の副作用について,昭和61年9月から昭和63年6月までの間に日本全国の大学病院の放射線科を中心とした198施設35万2817例について実施された大規模調査(以下「本件造影剤副作用大規模調査」という。)の結果は,別紙大規模調査結果のとおりである。
 造影剤の副作用について350例を対象にして調査したところ,アレルギーの有無によっては副作用の発現率に有意差を認めなかったとする報告(乙B第7号証)がある。
  (4) 造影CT
 頸部のCT検査において,リンパ節と血管を明瞭に区別するためには造影剤の投与が必要とされる。
 造影CTの実施に当たって重要なことは,目的とする臓器,組織,病変の造影剤濃度が最も適切なタイミングで撮像をすることである。造影剤の総量,濃度,注入速度,注入タイミング等の造影剤の投与方法が造影能に影響する。
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