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局所麻酔薬アレルギー

以下の判例から
前掲
平成20年 5月 9日 東京地裁 判決 <平17(ワ)3号>


  (3) 局所麻酔薬アレルギー
 局所麻酔薬のアレルギーには,アナフィラキシーとアレルギー性接触性皮膚炎があり,最初にどちらのアレルギーか鑑別する必要がある。アナフィラキシーとアレルギー性接触性皮膚炎の鑑別は比較的容易であり,アナフィラキシーは全身の発赤,血圧低下,気管支痙攣などの全身症状を伴うのに対し,アレルギー性接触性皮膚炎は原則的に接触した皮膚の周囲に限局した腫脹を伴った皮膚症状が発現する。
 全身症状を伴ったアナフィラキシーが疑われるときには,既往歴の徹底した聴取が必要である。多くの場合心因性または迷走神経反射を介した反応であることが多く,既往歴の詳しい検討により,アレルギー反応か否かをある程度判断することができる。
 既往歴の徹底した聴取から,アレルギー反応が否定的なときには,ブロック前に希釈した局所麻酔薬で皮内反応検査を行う。陰性であれば,注意しながら神経ブロックを試みる。局所麻酔薬そのものによるアレルギーの頻度は非常に少なく,むしろ添加物であるメチルパラベンによることが多いため,「アレルギー」と訴えている患者のときには,添加物を含まない局所麻酔薬を使用することが勧められる。
 アレルギー反応が疑われるときの確定診断のための検査について,アレルギー性接触性皮膚炎の確定診断にはパッチテストが有用であるが,アナフィラキシーの確定診断にはほとんど価値がない。局所麻酔薬アレルギーの可能性を訴える患者に行うべきテストとしては,段階的増量チャレンジテスト,皮内反応テストなどがあるが,これらのテストの有用性には議論があり,これらのテストでは十分ではないため,テスト結果が陰性であっても,十分な注意を払ってアナフィラキシー発症の可能性を常に念頭におき,局所麻酔薬を使用すべきであるとされている(甲B5,13,乙B9,A)。

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