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記者会見等の責任 H18. 8.31 東京高裁判決(要旨など)

以下は貴重な裁判例と思われる。別頁で判旨の一部を紹介する。

平成18年 8月31日 東京高裁 判決 <平17(ネ)1814号>
損害賠償等請求控訴、附帯控訴事件
取消、請求棄却

事案の概要
 医師である一審原告が,一審被告Y1に対する診察時のセクシャル・ハラスメント(以下「セクハラ」という。)及び株式会社文藝春秋発行の週刊誌「週刊文春」(以下「週刊文春」という。)記者に対する発言による名誉毀損,プライバシー侵害を理由に一審被告Y1から新潟地方裁判所に謝罪広告掲載等請求訴訟(以下「前提事件」という。)を提起されたことに関し,
@一審被告Y1に対し,前提事件の訴え及びこれについての控訴の提起(前提事件の提訴)が不当訴訟に当たるとして不法行為に基づく損害賠償を,
A一審被告Y1及び前提事件の訴訟代理人であった一審被告Y2に対し,前提事件の訴状写しを司法記者クラブヘファクシミリ送信したこと及び前提事件に関する記者会見が一審原告の名誉毀損あるいはプライバシー侵害(名誉毀損とプライバシー侵害は選択的主張。)に当たるとして共同不法行為に基づく損害賠償を,
B一審被告毎日新聞社に対し,前提事件の訴えの提起に関する記事を一審原告の実名を使用して毎日新聞に掲載したことが名誉毀損あるいはプライバシー侵害(同前)に当たるとして不法行為に基づく損害賠償及び原判決別紙1のとおりの謝罪広告の掲載を,
C一審被告らに対し,上記各不法行為に基づき本件訴訟に係る弁護士費用相当額の損害賠償(附帯請求はいずれも不法行為日から支払済みまでの 民法所定の割合による遅延損害金である。)をそれぞれ請求した事案
 原審は,
一審被告Y1に対し,@の不当提訴による賠償責任を認め,これによる損害300万円及び弁護士費用30万円の合計330万円と遅延損害金(起算日は前提事件の訴状提出日。)の支払を命じ,
一審被告Y2に対し,Aの名誉毀損を認め,損害50万円及び弁護士費用5万円の合計55万円と遅延損害金(起算日は上記ファクシミリ送信日。)の賠償を命じ,
一審被告毎日新聞社に対し,Bのプライバシー侵害を認め,損害100万円及び弁護士費用10万円の合計110万円と遅延損害金(起算日は記事掲載の新聞発行日。)の賠償を命じ,
その余の各請求を棄却したことから,一審被告らがそれぞれ控訴し,一審原告は,一審被告毎日新聞社に対し控訴を提起し,一審被告Y2に対し附帯控訴した。
(なお,一審原告は,当審で一審被告毎日新聞社及び一審被告Y2に対する請求を一部減縮した。)
(したがって,一審原告の一審被告Y1に対する上記Aの請求は当審における審判の対象ではない。)

要旨
患者を代理した弁護士が、訴状写しを司法記者クラブ幹事社にファクシミリ送信し、記者会見をしたことが医師に対する名誉毀損、プライバシー侵害に当たらないとされた事例
本件訴訟の提起を医師の実名により報道した記事を新聞に掲載することが医師に対する名誉毀損、プライバシー侵害に当たらないとされた事例

裁判経過
 第一審 平成17年 3月14日 東京地裁 判決 <平15(ワ)4783号>

評釈
鈴木和典・判タ 1257号45頁

出典
判タ 1246号227頁
判時 1950号76頁
ウエストロー・ジャパン

cf.第一審判決
平成17年 3月14日 東京地裁 判決 <平15(ワ)4783号>
損害賠償等請求事件
一部認容、一部棄却

事案の概要
医師である原告が、被告Y1(以下「被告Y1」という)から診察の際のセクシャル・ハラスメント及び株式会社文藝春秋発行の週刊誌「週刊文春」(以下「週刊文春」という)記者に対する発言による名誉毀損、プライバシー侵害を理由とする謝罪広告掲載等請求訴訟(以下「前提事件」という)を提起されたことに関し、
@被告Y1に対し、前提事件の訴え及びこれについての控訴の提起が不当提訴に当たるとして不法行為に基づく損害賠償を、
A被告Y1及び前提事件の訴訟代理人であった被告Y2(以下「被告Y2」という)に対し、前提事件の訴状を司法記者クラブヘファクシミリ送信したこと及び前提事件に関する記者会見を行ったことが原告の名誉毀損あるいはプライバシー侵害(名誉毀損とプライバシー侵害は選択的主張)に当たるとして共同不法行為に基づく損害賠償を、
B被告株式会社毎日新聞社(以下「被告毎日新聞社」という)に対し、前提事件の訴えの提起に関する記事を原告の実名を使用して毎日新聞に掲載したことが名誉毀損あるいはプライバシー侵害(同前)に当たるとして不法行為に基づく損害賠償及び別紙1のとおりの謝罪広告の掲載を、
C被告らに対し、右各不法行為に基づき本件訴訟に係る弁護士費用相当額の損害賠償を、それぞれ請求している事案
(附帯請求は、各不法行為の日(ただし、弁護士費用相当額の損害賠償については最後の不法行為の日である右Bの毎日新聞発刊日)から支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求)

要旨
客観的併合の場合に、そのうちの一つが裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合にも不法行為は成立するとされた事例
訴訟代理人が訴訟提起に際して行った記者会見等が、当該訴訟の被告に対する名誉毀損の不法行為を構成するとされた事例
提訴された事実を実名を使用して新聞報道したことが、当該訴訟の被告のプライバシー侵害に当たるとされた事例

裁判経過
 控訴審 平成18年 8月31日 東京高裁 判決 <平17(ネ)1814号>

評釈
青野博之・リマークス 33号78頁(2006年下)

出典
判タ 1179号149頁
判時 1893号54頁
ウエストロー・ジャパン

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