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刑事判決と民事判決

刑事判決と民事判決

 刑事判決と民事判決の関係に関して、最高裁判例は、つとに、次のように判示しているところである。

@最高裁第三小法廷昭和25年2月28日判決<昭和24年(オ)第34号>(民集4巻2号75頁)

判決要旨
「刑事判決において、ある債権の存在が認められても、民事判決において、その債権の不存在を認定することは、差支えない。」

A最高裁第一小法廷昭和34年11月26日判決<昭和33年(オ)第866号>(民集13巻12号1573頁、判時206号14頁) 

判決要旨
「自動車運転者が業務上過失致死被告事件の判決で過失を否定された場合でも、不法行為に関する民事判決ではその過失を否定しなければならぬものではない。」

 この問題に関しては、後記福岡地裁平成18年9月28日判決の判例時報の解説が以下のように述べていることが一般的な理解と思われる。

「民事過失と刑事過失との間に差異があるか否かについては,見解が対立するが,多数説は,民事においては被害者に生じた損害を賠償させてその私的利益を図るのが目的であり,刑事においては犯罪者に刑罰を科して公益を保護するのが目的であるから,その目的に従い,刑事では過失を狭く厳格に認定すべきであり,民事では過失を広く緩やかに認定すべきであるとしている。」
「また,民事裁判と刑事裁判とは,異なる訴訟構造の下に行われ,証拠の収集,立証,証拠能力,証明の程度等も異にするため,民事訴訟において,刑事判決の理由において認定された事実に反する事実を認定することは,もとより妨げられないと解されている。」
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